胸鎖関節の機能不全と肩関節運動機能への影響

2025/08/01

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【胸鎖関節の解剖学的・運動学的意義】

胸鎖関節は、胸骨柄と鎖骨内側端によって形成される、人体で唯一、上肢帯と体幹を直接連結する関節です。形態学的には鞍関節に分類されますが、前後、上下、回旋といった三軸性の自由度を持つため、球関節に準じた広範な運動を可能にします。この関節は、関節包、前・後胸鎖靭帯、肋鎖靭帯、鎖骨間靭帯によって強固に安定化されています。特に肋鎖靭帯は、鎖骨の挙上を制限し、胸鎖関節の安定性に最も寄与する主要な靭帯として知られています.


【胸鎖関節の機能不全が肩関節に与える影響】

胸鎖関節に機能不全(例:亜脱臼、不安定性、運動制限)が生じると、その影響は肩関節全体に波及し、可動域制限と筋出力の弱化を引き起こします。

1) 肩甲骨運動の障害と可動域制限
胸鎖関節の機能不全は、肩甲骨の適切なアライメントと運動を直接的に阻害します。鎖骨の動きが制限されると、それに伴う肩甲骨の上方回旋、後傾、外旋といった運動が制限されます。
例えば、胸鎖関節が固定された場合、肩甲上腕関節のみでは上肢の挙上角度は90°程度に制限されます。胸鎖関節の可動性が低下すると、肩甲骨の十分な上方回旋が得られず、肩峰下腔の狭小化を招き、インピンジメント症候群のリスクを高めるとともに、上肢の最大挙上角度が制限されます。
特に肩関節屈曲や外転といった動作において、胸鎖関節の運動制限は顕著な可動域制限として現れます。

2) 筋出力の弱化
肩関節周囲筋、特に回旋筋腱板や肩甲骨周囲筋は、安定した肩甲骨を基盤として効率的に力を発揮します。胸鎖関節の機能不全により肩甲骨のアライメントが異常になると、これらの筋群が不利な力学的条件下で作用することになります。
例えば、肩甲骨が十分な上方回旋や後傾を行わないと、三角筋や棘上筋といった挙上筋の作用線が変化し、筋張力発生能力が低下します。
また、胸鎖関節の不安定性は、上肢の荷重時や運動時に代償的な筋活動を誘発し、特定の筋群に過負荷をかけることで、筋疲労や疼痛を引き起こし、結果的に筋出力の低下を招く可能性があります。これは、運動連鎖全体における「基盤」の不安定性として捉えられます。

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